社会人1年生は、入社から半年が経つ頃だ。
研修や上司からの指導で「PDCA」のサイクルを教わった人は多くいるだろう。もし知らなければこの機会に知っておくと良い。
P:Plan=計画
D:Do=実施
C:Check=検証
A:Action=改善し次の行動へ
というサイクルにより、物事を改善しつつ進めていくという考え方を表したものだ。
だが、PDCAを上の図のように「円」で教わってしまった不幸な新社会人もきっと多くいることだろう。
PDCAの極意は、サイクルが一周で終わらないことだ。
そして、もっと大事なことは、「同じところをグルグルと回らないこと」である。
正しい図はこうだ。
Aから次のPへ移行する際には上に進んでいなければならない。円でとらえてしまうと、同じ所をぐるぐる回る印象もあり、AからPの間に何ら進歩がないケースも許してしまう。螺旋状でとらえ上昇志向とセットでサイクルを回すことが大事なのだ。
また、円でPDCAをとらえることによって、円をカレンダーに見立てて1年間でPDCAを回す、すなわち4月にPを、7月にDを、10月にCを、1月にAを、という遅くだらだらとした行動が無意識にインプットされてしまうのだ。
変化が多様でかつ速い時代だ。時代の変化に取り残されないためには、PDCAのサイクルも必然的に速く回していく必要がある。
何か問題が起こった時にその対応策を考えるのに時間をかけていると、問題そのものが変化してしまうこともあるのだ。
その中でもPについてはじっくりと計画を練っているよりは、「仮説」を立ててそれをとにかく実行していくことだ。間違っていてもかまわない。とにかく実行の場数を踏んでいくことが、社会人としての経験値にもなり、かつ実践を通しての思考ができるようになる基礎訓練になるのだ。
多くの現管理職や現経営者たちが無能なのは、「失敗しない」ことが最優先される空気の中で仕事をしてきたため、Pに時間をかける習慣に長年染まってきた結果、PDCAを回す回数が少なく経験値不足が生じているためである。
そして、PDCAを回す回数が少ないということは、決断してきた数も少ないということだ。つまり、実行力にも乏しい。そんな人間の下で上司の基準に合わせて仕事をしていれば、自分まで世の中で通用しない人間に成り果ててしまう。
仕事に慣れてくると次第に上司に無能さを感じてくることになるだろうが、彼らは決められたレールや決められた価値観の中でぬくぬくと育ってきた、「ゆとりの先輩」である。
物事はすべて現在進行形で動いている。
時間の経過とともに状況も、それに対する最適解も、変化しているのだ。
イメージしてみてほしい。3車線の高速道路の真ん中車線を運転していると、はるか前方と左側車線には遅い車が走っている、後ろからは車が追いついてきて距離を縮めている、右側車線はガラ空きだ。
自分も、周りも、走っている。つまり同じ所にとどまらず、変化している。
だが、1分もすれば右側車線が一変して車が途切れなく走るようになり、自分の車は前方を走っていた車に追いついてしまいスピードダウンを余儀なくされる、後ろを走っていた車は先程右側車線が空いていた隙に車線変更しはるか前まで進んでいる。
今の時代の変化は、高速道路上の運転のようである。
あの時、右側車線に変更していれば・・・
いや、今からでも右車線に割って入り流れに乗るべきか・・・
その時々の瞬発力と決断力が大事なのだ。
そしてそれらは、真のPDCAサイクルを速く回して成長していくことで、自身の基礎体力として身に付いていく。
【関連本】
ビジネスマン必読の一書。