まず、事の発端となったさかもと未明の記事。
再生JALの心意気 | PHPビジネスオンライン 衆知
http://shuchi.php.co.jp/article/1229
Voice 2012年12月号
http://www.php.co.jp/magazine/voice/?unique_issue_id=12420
夏に松山から羽田へ戻る空の便で、漫画家のさかもと未明が離陸直後から泣き叫び通しだった赤ちゃんと母親、客室乗務員にブチ切れてJALを相手にクレームを入れ改善を求め一悶着起こしていた、というコラムが、雑誌『Voice』2012年12月号に掲載された。
『Voice』の記事の一部はPHPのポータルサイトに掲載され、PHPが発行している他誌に横断的に目を通せるようになっている。今回はそれがYahoo!ニュースに転載され、多くの人の目に触れるようになり、さらに著名な人らがツイッターやブログ等で言及しさらに拡散され大炎上する格好となった。
単純に最近はびこってる「社会不適合者」(=自分を社会に合わせるのではなく、自分に社会を合わせよう、あるいは合わない社会はドロップアウトしようという思考回路を持った手合いの意)の戯言なんだけど、本エントリも同様だがこの国では言論の自由が認められているし、件の記事が公共性の高いメディアに載った訳ではない。まぁ市販の雑誌やネットに載った時点でチラ裏では済まないわけだし、国内最大のポータルサイトであるYahoo!に載っかったせいで各方面から油を注がれ炎上してるわけだが・・・
再生JALの心意気/さかもと未明(漫画家)(PHP Biz Online 衆知(Voice)) - Y!ニュース
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20121119-00000002-voice-pol
空の社会や空気をつくるのは航空会社としての責務だ、というスタンスでモノ言ってるんだけど、一意見を提案している良き客とは映らないのは私だけであろうか。私がたかだか数時間の移動に快適性を求めない性格の人間ゆえかもしれないが、我慢のできない大人がここにもいるのかと冷ややかな目でどうしても見てしまう。
泣き叫ぶ乳児にブチ切れてクレーム……
さかもと未明の“搭乗マナー”が物議 | RBB TODAY
http://www.rbbtoday.com/article/2012/11/20/98046.html
「子供は泣くさ」 物議醸した“搭乗マナー”問題
つんくや乙武さんの発言に共感の声多数 | RBB TODAY
http://www.rbbtoday.com/article/2012/11/20/98074.html
世間の反応も著名人の反応も同じような意見ばかりで、だいぶ私刑が執行されることとなった。
飛行機で泣く赤子と少子化
http://meinesache.seesaa.net/article/303064453.html
そしてそれに対して、さかもと未明を叩く世間がすごく日本らしいというエントリが出てきた。ダメ人間を叩き、ダメ人間を矯正し、ダメ人間のいない社会を作るのが日本社会だという趣旨の言説にはやけに納得させられた。
赤ちゃんを泣かせろ
http://koshimo-blog.com/?p=545
赤ちゃんを泣かせるなという発想が人間否定だという主張だが、さかもと未明のようなダメ人間を否定してもいいのだろうか、という視点が欠けている。結局のところ、赤ちゃんも、親も、さかもとも弱者なので、どれを守るかという優劣の判断はもはや各自の判断である。
油を注ぎ続けた人たちは、さかもとが強者であると判断したから叩いたのであり、世間一般的にはその見方が多数派なのだろう。たしかにそうだ。だが、彼女もまた弱者であるという視点は持ってあげるべきではないだろうか。
ここまでのエントリを読んで私の答えはもう出ているのだが、とりあえずおまえら全員安易な批判はやめろ、ということだ。全体にとって良くなることにつながるのであればやり玉にあげることも必要だが、今回さかもと未明を叩くことによって何が良くなったのかといえば甚だ疑問だ。
しいて言えば、さかもとの失態を晒しあげ反面教師として、そうはなるまいと皆が空気を読んで肝に銘じることを望んだのだろうか。さかもと未明に聖人君子的なモラルを求める考えが根底にあるのだとしたら、それはツイッターで言及して晒しあげた著名な方々のその行動は聖人君子的な行動だったのだろうか。
まったくもって矛盾しているし、逆にその行動を叩かれても仕方がないだろう。幸か不幸か日本はそういう空気が流れる国なのだ。ある意味2chに代表されるようなネットに流れる空気は、日本のリアル社会に流れる空気と一致している。
それでいいのか・・・?
大事なのは、下記の人たちのように諭してあげたり、公平な立場で擁護してあげたり、ユニバーサルな設計を提案してあげることである。
さかもと未明女史、飛行機中で赤ちゃんに泣かれて逮捕寸前のクレームを起こす
子供の泣き声にすげえいらいらする側の意見 - 24時間残念営業
http://lkhjkljkljdkljl.hatenablog.com/entry/2012/11/20/173254
飛行機の搭乗マナー問題と、ソーシャルデザイン思考
http://www.ikedahayato.com/index.php/archives/17946
【オススメ本】