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医療の現場で起きていること


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少子高齢社会の到来を迎えようとしている昨今、医療関連の問題点が浮き彫りとなってきています。

大学法人化に伴い、大学病院は公立病院へ出向させていた医師を引き上げました。その結果、過疎地でなくても公立病院で常勤医不足が起こり、閉鎖されてしまった診療科も存在します。患者の受け入れができない状態の病院もありました。

夜間の救急患者がたらい回しにされている間に死亡してしまったということもあるでしょう。やっと受け入れてくれた病院では研修医が未熟な対応を・・・、ということもあることでしょう。

身近な人が、未熟な診断をされ危うく命を失いかけたこともありました。

また、勤務医が極めて過労な勤務実態を嫌い開業するケースや、女性の割合が増えているため寿退社するケースも少なくありません。

小さい病院では、人材不足の結果、資格を持っていない従業員が資格を必要とする診療に関わって書類送検されたケースもあります。

看護師の比率で診療報酬が変わるため、看護師確保の競争に敗れた病院では人材不足によるひとりひとりの負担が大きくかつ収入の減少を余儀なくされているところもあります。

開業医でも、訴訟リスクの高い産婦人科は敬遠され減少傾向にあり、地元に産婦人科がないため都市部まで出てこないと出産ができない地域もあります。かつては出産経験のある人や近所の助産婦が立ち会って自宅で出産していた時代もあったのですが、その風習はいつの間にかなくなりつつあります・・・。

小児科も大病院・開業診療所ともに減少しています。小児科医の数が少なく、労働時間も過酷を極めていて、特にこどもの場合は夜間診療を必要とするケースも多いのでしょうが、夜間診療を受け入れてくれない病院になど期待できない現状があるわけです。医師ひとりひとりの負担が大きいため、診察の質も必然的に落ちてしまうでしょう。

一方で歯科医師は“コンビニの数より多く”なってしまい、過当競争の結果ワーキングプア状態になった開業歯科医は少なくありません。患者確保に躍起になり、定期検診の「営業ハガキ」を出す歯科医師も少なくなく、受付窓口での歯ブラシ等の虫歯予防グッズの販売を積極的に行う診療所も多くあります。歯科開業医全体の1/5が低所得という調査もあります。

私がかつて不動産営業をしていた頃のお客様で、歯科開業医のお客様もいたが、個人所得で2,000〜4,000万円くらいはありました。他方で年収300万円以下の歯科医師も多いといいます。法人所得にするか個人所得にするか、税金対策で個人所得を調整している歯科医も少なくないでしょうが、厳しい現実を見ている歯科医も決して少なくないはずなのです。

淘汰の中で質の向上があれば資本主義の競争社会の原理に適っていますが、格差の波は“お金持ち”とされる医者にまで及び、平均的なサラリーマンよりも収入が少ない“負け組”が実際にいるという生々しい窮状がそこにはあります。

診療報酬改革による医師の収入減と診療内容の劣悪化もしばしば話題になっている。点数制の報酬体系になっている医療の世界で、初診料の削減や治療評価の低下、対看護師の比率による点数の差異等、全体的にかつてよりも診療報酬が減少している。

さらに、患者の窓口負担が増えたため、重症になるまで来院しなかったり、健康保険料を払えず診察が困難になってしまったりと、患者数が減っている現実もあり、結果として「医師=高所得」とは必ずしも言えず、その割には休みなく働かなければいけない状況下で過酷な労働を強いられます。地方では特に土日も休みなく病院に顔を出さなければ回らないところも多いようです。時給換算したら一体いくらくらいなのかと質したくなるような現状が、そこにはあります。

今後は、高齢者の増加に伴い医療費を捻出しなければいけません。たばこや酒にさらなる税金をかける等、生活習慣病の改善も兼ねた“一石二鳥”の対策も必要不可欠です。また、早期治療を難しくさせる今の状況では、医療費の8割を費やしている高度医療による医療費消費が増えてしまうでしょう。

病気予防になる健康ブームは、医療現場から意図的に仕掛けられたものではないかと個人的には多少の陰謀論的な視点も持つつつ感じています。ここぞとばかりに、健康志向の産業はあの手この手で新商品を提供し続けています。

知人の大学教授曰く、吸収されない栄養素をいくら摂取しても意味がないそうで、何がとはあえてここでは触れませんが、プラシーボ効果で終わるものもけっこう出回っているそうです。

「医学=自然に反する」、「病死は自然の摂理」等の土俵でものごとを考えてしまうと議論は平行線をたどるか終わらせるかしかありませんが、大切ないのちを延命すること、健康な状態まで根治することは、自身だけでなく周囲の幸福にもつながります。健康に生きていられることが、何よりも幸福ですから。

毎日自己注射をしなければいけなかったり、薬を服用しなければいけない生活を好き好んでは誰もしないでしょう。ベッドで寝たきりになって周囲に迷惑をかけてしまったり、かさむ医療費を家族が借金を重ねて捻出していることを知り罪悪感を抱えながら余生を生き、その思いの中で人生の幕を閉じるようで果たして良いのでしょうか。

医学とは独善的で利己的なものかもしれませんが、「医療崩壊」に危機感を抱く気持ちがあり、マスコミも騒いでいる様をみて賛同する自身を感じた時、医療を立て直そうという立場にいるのだなと実感することがあります。

医療の制度に対する考え方、医師のあり方、患者のあり方、健康な状態でのあり方・・・、すべてがうまくはいかないでしょうけど、改善の余地はあって、考え方ひとつで大きく変えられると信じています。

軽い偏頭痛でさえも、あるのとないのとでは全然違いますから。


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