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アルジェリア人質拘束事件における企業の責任

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アルジェリアで起こった邦人殺害事件における日揮経営陣の責任ははかりしれない。

 

なぜなら、この事件の首謀者であるモフタル・ベルモフタルの存在は前々からわかっていたことだからだ。彼は2012年12月に「イスラム・マグリブ諸国のアル=カイダ機構(AQIM)」を脱退し「イスラム聖戦士血盟団」を結成したばかりだ。武器の密輸や武装組織の指導者であり、新組織結成における知名度アップを図るための事件でもあった。

 

そんな危険人物が暗躍している地域に従業員を従事させるということは、ウサマ・ビンラディンが潜伏していたアフガンへ利益を求めて従業員を送り出すような恐ろしい人事判断であり、経営判断である。

 

勤務地が治安的に危険地帯であるという認識が薄かったのか、わかってて拠点への転勤を命じていたのか。後者ではないのだろうが、前者であっても企業経営者としては落ち度を責めざるをえない。

 

当然ながらエネルギー関連の産業は国策も絡んでくるため、振興のために政府との連携が必要不可欠だ。政府の責任もあるが、安全に仕事ができる環境を整えるための政府との準備不足のまま進出してしまった経営判断がやはり最大の問題である。

 

特に治安に不安のある地域において迅速に撤退できる体制が整備されていなかったこと、警備体制が脆かったことの責任は重く受け止めるべきである。

 

事件はアルジェリア政府とテロリストとの戦争のさなか、イギリスに本拠を置くスーパーメジャー・BP社の要人が事件現場であるガス油田施設を訪問している時を狙って起きたとされている。

 

ガス油田開発には日揮以外にいくつもの国のグローバル企業が関連していたため、日本の企業だけが危険だからと言って一時的に業務を停止しにくかったと思われる。

 

情報が少ないが、犯行グループの要求にある「マリにおけるフランス軍の行動阻止」、「米国で収監されているアブドゥルラフマン師(イスラム過激派指導者)やサディキ(テロ計画の一員)の釈放」があるため、アメリカ企業やフランス企業も関わっていたのだろう。イギリス人やアイルランド人も人質にとられている。

 

テロとの戦いにおける国際社会の常識としては「テロリストとの交渉には応じない」といったものがある。

 

各国の企業が共同で開発している油田プラントは、テロリストにとっての格好の標的だ。1月11日にマリ内戦へのフランス軍介入が始まったが、治安が不安定になる流れは情報さえしっかりつかめていれば対策を講じれたはずである。

 

21日の時点で8ヵ国37人の死亡が確認されている。

うち日本人7人の死亡が確認された。

 

アルジェリアには鹿島や間組などのゼネコンも進出している。次の被害を出さないためにも、情報収集ネットワークの強化(というか構築からか・・・)や人質救出のための派兵に関する法整備を迅速に進めるべきだ。

 

安倍政権の今ならそれらの体制構築にもってこいだろう。具体的にはアフリカ情勢に詳しいのはかつてアフリカ諸国を植民地化していた欧州諸国、そしてアルジェリアの発展に大きく協力してきたロシアである。最近はアメリカやアジアの近隣諸国との関係に焦点が当たりがちだが、この事件を契機に欧州諸国やロシアとの連携強化を図ると良いだろう。

 

被害者の実名報道云々に世間の論点が向いてるけど、そっちじゃないでしょ注目するべき点は・・・

 

【イスラム過激テロ関連本】