いろいろな「はてな」に触れるブログ

基本的には自分用メモの公開版です。オピニオンも書いていくかも。

ビジネスにおけるアイデアの「生み方」と「殺し方」


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ソースは自分の経験や時の上司の指導、酒の席での会話、読書等いろんなところから蓄積したものだが、メモとして記録しておいたものを一度まとめてみる。

ビジネスにおけるアイデアには、製品(売り物)の開発や方法(売り方)、組織の仕組み(売る側の体質)等さまざまな点で求められる。経営者だけでなく従業員のアイデアの吸い上げで事業を維持している会社も多数ある。

これはトップや役員だけのアイデアよりも、低いレベルであっても多くのアイデアを募って新しいものを生み出す方がベターだからである。

多くのファッションブランドを抱え業績を伸ばしているPALグループでは、「拝啓 社長殿」という社内制度によって従業員から新商品のアイデアを集め、新しいブランドの立ち上げや新商品のリリースに反映させている。お世辞にも労働環境が良いとはいえないアパレル業界において、自分が考えたアイデアが商品化される喜びやそのチャンスによって従業員が活きるシステムを導入しているのだ。

今回はアイデアを生む方法だけでなく、殺してしまうケースとあわせてまとめてみた。



■「アイデアを生める頭」をまずつくる

・頭が冴える場所を把握する
人間にはアイデアの浮かびやすい場所が存在するため、たとえばカフェやバスルーム、移動の電車や車の中、就寝前のベッド等、それぞれ自分がどんな場所でアイデアが生みやすいかを知っておくとよい。

・ものごとは常に変化していくものだと理解する
通信手段やメディアの進化や多様化によって世の中の常識が一変したように、世の中は無常である前提をしっかり認識することだ。

・常識を疑う
常識というものは、ある特定のクラスタの中でしか通用しない共通認識である。「郷に入らば郷にしたがえ」という言葉があるように、例えば転職し会社が変わればそこに流れる空気や常識はまったく違うものとなる。時代や環境の変化から取り残されないためには、一定の常識や価値観に凝り固まらない視野と柔軟な思考回路を持つべきである。

・他の方法がないか考える
ひとつの優れたアイデアだけでなく、より多くのアイデアを出すことに慣れることが大事だ。ゴール(目的)を設定し、そこに至るまでのルート(方法)を列挙してみる。たとえあまり良いアイデアではなくとも、とにかく数を多くアウトプットすることが最適解を導き出す可能性を高める。アイデアは質より量をまず求めることが重要だ。

・使い方を変えてみる
既存の製品を別の用途で使ってみる。その用途を発見した時、それは新商品誕生の瞬間でもあるのだ。

・一瞬で理解できるものにできないかを考える
分かりやすく伝えられるアイデアかどうかも大事だ。「この新製品によって、生活がどのように便利に変わるのか」がわかりやすくワンフレーズで訴求されることによって、ヒット商品が生まれる。

・アイデアの実際の生産は6つの段階を経由して行われる
1.情報収集→2.情報の分析→3.分析結果の組み合わせ→4.アイデアのひらめき→5.アイデアの実用性の考察→6.アイデアの実用化

・アナログなものに立ち返ってみる
手袋にヤスリのようなギザギザな素材を組み合わせ、じゃがいもの皮むき手袋が生まれた。電化製品を利用したり薬品を利用したりするような、最新のテクノロジーや化学を用いる必要は必ずしもない。

・常識に対して「なぜ」の視点を持つ
ニュートンは「なぜりんごは落ちるのか?」と物が落ちるという当たり前のことに疑問を持ったために、「ではなぜ月は落ちないのか?」など突き詰めていった結果「万有引力の法則」と「運動の法則」を発見した。ダーウィンの進化論も、その他の多くの発見も同じだ。最近では元ライブドアCEOのホリエモンが「なぜできない?」「なぜ効率悪いのに現状そうなっている?」と職場で部下に投げかけながら事業を成長・拡大していき一時の大きな成功を収めた。

・ニーズから考える
世の中のことで不平や不満を持っていることを書き出してみる。たとえばテレビとビデオデッキが分かれてる非効率から、一体型にしたのがテレビデオだ。買う側にとっては一緒に使うものなのに分かれていることでかさばるし、値段も割高になりうる。クレームを分析すると見えてくる新しいアイデアは多々あるものだ。寄せて上げることで胸を大きく見せるブラの逆の発想で、「胸を小さく見せたい」という少数のニーズから「胸が小さく見えるブラ」が生まれた例もある。



■平凡なアイデア同士を組み合わせる

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平凡なものでも斬新なアイデアに化けることがある。携帯やスマホのように電話+インターネット(メール)+カメラ+テレビ、タブレットPC+電話のような機能の組み合わせによって便利なものが生まれ、乗り遅れてはいけないレベルのビッグウェーブが発生する。

豚汁に麺を入れてくれというワガママな客の要望から生まれた味噌ラーメンや、「マンガ+喫茶店」「猫+カフェ」「メイド+喫茶店」などの組み合わせで支持される商品やサービスが生まれる。

そもそもアイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもないと思ってよい。既存の要素を新しい組み合わせに導くためには、物事の関連性を見つけ出す視点が不可欠である。



■既存の状態を脱却する方法

・変化
既存のものを違うものにする。既存の状態から別の状態に移行する。

・クリエイティビティ
何か新しいものを創りだす。

・水平思考によるイノベーション
問題に対する新しい見方を探す思考法。経験や常識、思い込み、先入観を疑い、前提の無い状態でアイデアを生み実行していく。



■イノベーションの例

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20世紀初頭までの店舗は対面販売で、店員が客からヒアリングして希望の商品を紹介するシステムだったが、1920年代にマイケル・カレンが「客が商品を選んで最後にお金を払う仕組みにしたらどうか」という新しい発想をした。

全品に値札をつける手間や店員の配備、万引きの問題等さまざまな反対意見があったものの、大量販売が可能となり現在のスーパーマーケットにも採用されている仕組みが確立した。

知識というよりも想像力によってイノベーションを起こした代表的な例である。

売り方で言えば、オモチャをガムやチョコなどのお菓子とセットで売ることで爆発的ヒットとなった例がある。「おまけ」ならばという心理をついた面によってヒットした例だが、コレクションという意味では「プロ野球チップス」等の例もある。

販売ルートのイノベーション例ではアマゾンのように従来の販売ルートを無視して、インターネットで直販するモデルが有名だ。

金額的な敷居の高い不動産であれば、1棟取引から区分所有権の分譲がイノベーションであったし、実物の所有権売買ではなく証券化して単価を下げることで参入障壁を下げ、投資金額に対して収益配当を出すというモデルも不動産業界のイノベーションだった。賃貸でも複数人で1つの物件を借りるというシェアハウスが最近は流行りつつある。ルールを変えて新しい形態を提案するケースである。

売上モデルで言えば、コンテンツを無料にして広告で収益をあげるというグーグルをはじめとした海外のネット事業の収益モデルが当時は新しかった。

生産モデルのイノベーションの例は、ヘンリー・フォードが自動車の生産を「流れ作業」にして大量生産モデルを確立した。それまでは作業員が1台の車のところへ行き作業をしていたが、人のもとへ車を動かすことによって作業効率を格段に向上させたのである。

製品のイノベーションであれば、粘り気の強いトマトソースが瓶から出にくいという欠点を逆手にとって、やわらかい容器から絞り出す仕様にしたのが今のケチャップの形になっている。そしてトロリと流れるようなサラサラなトマトソースに対抗し勝ったという歴史がある。

さまざまなヒット事例や成功した例を見ていけば、このような例は枚挙に暇がない。



■「引き算」や「失敗」も立派なアイデアであることを知る

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ソニーは、テープレコーダーの小型化・軽量化を求める過程で録音ができず再生しかできない製品になってしまった。しかし同時進行で開発していた軽量化されたヘッドフォンと組み合わせて「録音もできず」「スピーカーも無い」テープレコーダーが「ウォークマン」として世に出て大ヒットに至ったのだ。

かかと部分がカットされたダイエットサンダルも、形は違うが引き算によるアイデアである。

また、粘着力が無い失敗作ののりから「ポストイット(付箋)」が生まれた例や、ワインを誤って2度発酵させてしまったことですシャンパンが出来上がった例など、失敗から生まれたヒット商品はけっこうある。失敗してシャーレにカビを生やしてしまったことからペニシリンが発明された驚異的な事例もある。

北の大地・北海道は札幌市の冬は雪が大量に降り、観光集客の環境は最悪だったが、その雪をつかって石像を制作し「さっぽろ雪まつり」にして冬の札幌への集客に成功している。弱点を逆転の発想で「観光の目玉」に変えてしまうイノベーションであった。



■「不要なもの」を活かした成功事例

太平洋セメントの前身である浅野セメントの創業者である浅野総一郎という人物がいる。浅野は「浅野財閥」を一代で築いた偉人であるが、そのスタートは事業の失敗と借金まみれと前途多難なものであった。

浅野は「不要品」「タダのもの」に目を付けた。無料で汲める水に砂糖を混ぜただけの水を「御茶の水の銘水」として売ったり、農家が捨てたたけのこの皮を包装用として売って、商売を軌道に乗せていった。

さらに浅野は公衆トイレの整備を請け負った。何故か。し尿を農家に肥料として売るためである。他にも廃棄に困っていたコークスを買い取り燃料としてセメント工場に売って財をなした。

現在ではいろいろと規制が増えてしまっているのだろうが、今で言えば「原発のゴミ」を再利用する手段を見つけたようなもので、周囲からも大変喜ばれたそうだ。

「フォーカスチェンジ発想法」とも呼ばれ、家電のゴミの山からレアメタルを抽出する事業もこれと同じである。携帯電話1万台から実に300グラムもの金が取り出せるという。

誰も見向きもしたくないところに目をつけた成功例である。



■柔軟思考の例

599+598+597+596+595=???

という問題があったときに、順番通り計算していくと時間がかかるし、暗算が苦手な人は発狂するかもしれない。計算が苦手な人が電卓を叩くより早く答えを出すにはどうしたらいいか。

たとえば、これを600-1、600-2、600-3、600-4、600-5と読み換えると

600×5−(1+2+3+4+5)となり「2,985」という答えに早く到達できる。もしくは「599+598+597+596+595=」をそのままコピペしてググれば、自分の頭すら使わず一瞬で答えが表示される。

ゴールへの道はたくさんある。この道をいくつ知っているか、いくつ思いつくかが重要な鍵となるのだ。



■水平思考を身につける10ステップ

1.前提を疑う。
2.探り出す質問をする。
3.見方を変える。
4.奇抜な組み合わせをしてみる。
5.アイデアを採用し、応用し、さらに改良する。
6.ルールを変える。
7.アイデアの量を増やす。
8.試してみて評価する。
9.失敗を歓迎する。
10.異なる視点を持つメンバーでチームを構成し活用する。



■水平思考をするための質問

1.わたしたちは正しい質問をしているか。
2.なぜこの問題を解く必要があるのか。
3.そもそもどうしてこのやり方なのか。
4.問題を言い換えることはできないか。
5.問題を逆から見たらどうなるか。
6.この問題を解決したら、誰が得をして誰が損をするか。
7.わたしたちの仕事のルールはなにか。ルールを破ったらどうなるか。
8.この状態から何が推測できるか。
9.「神」ならどうやってこの問題を解決するか。
10.もし資金や資源に限りが無ければ、どうやってこの問題を解決するだろうか。
11.他業界の人はどうやって問題を解決しているだろうか。
12.どうすればこの問題を別の見方でとらえられるだろうか。
13.どうすれば顧客から2倍の価値を感じてもらえる製品をつくれるだろうか。
14.どうすれば在庫を半減できるだろうか。
15.どうすれば最高のスタッフを揃えられるか。
16.どうすれば新しい顧客を開拓できるだろうか。



■「なぜ」を繰り返し本質に気づくプロセス例

なぜヘアドライヤーを買うのか
 →髪を乾かすためです
なぜ髪を乾かすのか
 →濡れているからです
なぜ濡れているのか
 →髪を洗ったからです
なぜ洗ったのか
 →洗うと心地良いからです
ほかに理由はあるか
 →美しく見せたいからです

つまり「自分が清潔で心地よく、他人にも美しく見られたいから」というのが、ヘアドライヤーを購入した理由だ。この「理由」をしっかりと把握しておかないと、売れなくなった時の原因や対処法も見誤ることになる。



■目先の利益にとらわれない思考

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雨が降らないと水が手に入らない村に水を運ぶ事業を営むAとB。Aはバケツで水源まで往復しすぐに利益を得た。Bは綿密に建築作業員と打ち合わせをし、ビジネスプランを立て投資家から資金を集め、1年後に村と水源を結ぶパイプラインを完成させた。安定かつ大量供給ができることでAとの価格競争にも圧勝し、さらにこのビジネスモデルを別の村で困っている人にも販売し大成功した。

最終的に利益が出れば良い。目先の利益にとらわれ即効性だけを求めてはいけないのである。もっとも、目先の利益もその先の利益も両方考えられるのがベストだ。

また、街頭や店頭での無料サンプルや無料試食なども、最終的な売上につながる販売手法のひとつである。ドモホルンリンクルのお試しセットなども有名であろう。

かつて松下幸之助が電池式のランプを作った時に、広く販売するため前もって電池メーカーから電池を大量購入し、ランプとセットで販売し上手くいった事例がある。ランプが売れる自信があっての先行投資が成功した格好だ。

同じような例で、エジソンが電球の発明・実用化・普及と同時に「発電機」も発明したことにより、電球の利益と発電の利益を得た話も広く知られているところである。

先の展開を読んで成功をおさめる「アイデア」だ。



■発想法あれこれ

KJ法
1.テーマに関するアイデアをカードに書き出す。
2.書いたカードの中で、似たものを集めてタイトルをつける。
3.さらに似たものを集めて、タイトルをつける。
4.3でまとめたものを紙の上で分類する。

「オズボーンのチェックリスト」
1.他の利用法はないか。
2.類似したものはないか。
3.大きくしたらどうか。
4.小さくしたらどうか。
5.変更したらどうか。
6.他で代用できないか。
7.入れ換えたらどうか。
8.逆にしたらどうか。
9.合体させたらどうか。

「SCAMPER法」
1.置き換える。
2.組み合わせる。
3.当てはめる。
4.修正する。
5.別の目的にする。
6.削る。
7.並び替える。

「TRIZ法」
TRIZ法とは、パターンは全部で40種類。膨大な量の特許データから発想のパターンを抽出したものである。
1.分けよ。
2.離せ。
3.一部を変えよ。
4.バランスを崩させよ。
5.2つを併せよ。
6.ほかにも使えるようにせよ。
7.内部に入り込ませよ。
8.バランスを作り出せ。
9.反動を先につけよ。
10.予測し仕掛けておけ。
11.重要なところに保護を施せ。
12.同じ高さを利用せよ。
13.逆にせよ。
14.回転の動きを作り出せ。
15.環境に合わせて変えられるようにせよ。
16.大ざっぱに解決せよ、一部だけ解決せよ。
17.活用している方向の垂直方向を利用せよ。
18.振動を加えよ。
19.繰り返しを取り入れよ。
20.よい状況を続けさせよ。
21.短時間で終えよ。
22.よくない状況から何かを引き出し利用せよ。
23.状況を入り口に知らしめよ。
24.接するところに強いものを使え。
25.自ら行うように仕向けよ。
26.同じものを作れ。
27.すぐダメになるものを大量に使え。
28.触らずに動かせ。
29.水と空気の圧を利用せよ。
30.望む形にできる強い覆いを使え。
31.吸いつく素材を加えよ。
32.色を変えよ。
33.質を合わせよ。
34.出なくさせるか、出たものを戻させよ。
35.温度や柔軟性を変えよ。
36.固体を気体・液体に変えよ。
37.熱で膨らませよ。
38.「そこを満たしているもの」のずっと濃いものを使え。
39.反応の起きにくいものでそこを満たせ。
40.組み合わせたものを使え。

「等価交換法」
1.対象を決める。
2.その対象と等価なものを探す。
3.等価なものを対象と置き換えて発想する。
4.3の結果から再度対象について検討する。

「シックス・ハット法」
目的に対して6つの視点から発想する方法。
1.白い帽子(客観的な視点)
2.黒い帽子(消極的な視点)
3.青い帽子(分析的な視点)
4.赤い帽子(感情的な視点)
5.黄色い帽子(積極的な視点)
6.緑の帽子(革新的な視点)

「22の心理的法則」
1.ハロー効果(あの人の紹介なら間違いない)
2.ウィンザー効果(第三者から伝えさせる)
3.同類性の法則(みんなと同じじゃないと不安)
4.誤前提暗示(当然のように良い物という前提を与える)
5.返報性の心理(ほめられるとうれしい)
6.ワンフレーズ効果(短いキャッチコピーの方が響く)
7.松竹梅の理論(価格設定を3段階にすると一番安いものが一番売れる)
8.右サイドの法則(心臓に近い右側からのアプローチが効果的)
9.フット・イン・ザ・ドア(高い要求の後にハードルを下げた要求をする)
10.ワンセンテンス・ワンパーソン(センテンスごとに話す人を変える)
11.時間差値上げの法則(値上げをする・しない商品を差別化する)
12.間接的自己暗示(資格や肩書きで箔をつける)
13.帰属欲求(のけものにされたくない心理)
14.バンドワゴン効果(みんながやってるなら自分もしたいという心理)
15.希少性の原理(限定品に弱い心理)
16.準拠集団(他人の評価を拠り所にする心理)
17.ラベリング効果(イメージの良い言葉を冠する)
18.ピークエンドの法則(キーワードを終わりに持ってくると強く印象に残る)
19.視線交錯(アイコンタクトを多用すると好意的に映る)
20.因果応報の法則(「守破離」、成功には必ず理由がある)
21.フレーミング効果(同じことでも効果的な表記をする)
22.多数者の原理(「当店売上No.1商品」などの表示につられて買う心理)

「希望点列挙法」
お題について「こうであって欲しい」とか「こんな機能が欲しい」といった希望や願望を列挙し、それを元にアイデアを発想していく。

「欠点列挙法」
お題についてのマイナス点やネガティブ面を列挙し、それを元にアイデアを発想していく。曲がったキュウリや傷のある家具などを「ワケあり」「アウトレット」として売るアイデアはこれだ。

「VS発想法」
「東京都」に対する「大阪都」構想によって日本で一番注目される自治体となった大阪府・大阪市のように、あえてライバルとの競争を演出することによって注目を独占する手法。2者に注目を集めることで、他を排除し独占した人気を分け合えるというメリットがある。

「ソリューション発想法」
身近な「困った」を解消することを目的とした発想法。世界的にヒットしているSNSフェイスブック」は、ハーバード大の学生名簿が探しにくいという「困った」から生まれた。

「ツーウェイ発想法」
ショウウィンドウに「展示用」と「熟成用」の両方の効果のためにフルーツを入れた京都のカフェ「サロン・ド・テ」、福利厚生のための食堂メニューを一般公開して商品化した「タニタ食堂」など一石二鳥の発想法である。

「バズ発想法」
「焼肉 小倉優子」では「◯◯りんこ」と語尾に付ける店員のキャラ設定や、テーブルの上には大きさの釣り合っていない巨大な塩・胡椒、ソフトドリンクは水を頼んでもどんぶりサイズのかわいらしい器に入って出される。こういう話題になりそうなものを散りばめて写メを撮らせツイッターやフェイスブックで拡散させる手法だ。大分空港の「巨大すし」もこれにあたる。

「アンチユビキタス発想法」
「今だけ」「ここだけ」「あなただけ」という限定感を与えて付加価値をつける発想法。限定品を手にさせることで顧客の優越感を満たしファンにしていく手法だ。



■ちょっと「ずるい」アイデア

ロジカルな思考にとらわれない数々の方法も、生きていく上では有用である。

・他人の力を借りる
干支の順番は、年初にお釈迦様に動物たちが挨拶に行ったその順番になっている。牛歩とも言われる牛(丑)は歩みが遅いため、誰よりも早く出発し、誰よりも早くお釈迦様のもとへ到着できそうだった。しかし、牛の背中に乗っていたねずみ(子)がゴールの直前で飛び降りて一番最初にゴールしてしまったのだ。干支でねずみ(子)が一番最初なのはそれが理由なのだが、他人の力を借りる(利用する)こともアイデアのひとつなのである。

・矢を的に当てる手段あれこれ
命中率を高めるために的を大きくする。ラクに撃つためにボウガンを使う。ルールを変えて的に近い位置から撃つ。

・10個のりんごを3人で分ける
10個のりんごを1つ1つ3等分して再分配するのは手間がかかる。はかりを使って均等にわけるのも手間と時間がかかる。そこで、りんごをミキサーにかけてジュースにして分ければ最も公平に分けられる。

・自動車事故が多発するカーブで事故を減らす
道幅を広くしたり信号を設置、あるいは警官に交通整理をさせる・・・、しかしそれではどれも経費や手間がかかってしまう。そこで逆転の発想で、ガードレールとセンターラインを消すとドライバーは慎重にカーブを通過するようになる。何かを「加える」ことだけにとらわれていては浮かばないアイデアである。

・ラクをする権利を得る
生活していくために人は自分の時間や労力や頭脳を代償に、その対価を得るのが一般的だ。だが違う収入の得方がある。保有株式の配当や売買益、不動産の賃貸収入などがそれだ。自分は時間も労力も差し出さずに、「株主の権利」や「不動産所有者(家主)の権利」を活用して収入を得る。一般的にはまだ不労所得は「ずるい」という認識が根付いている。

・権威や産地を明示する
「◯◯賞受賞」や「有名人の◯◯推薦」、「◯◯県の××さんが生産したレタス使用」などをアピールすることで、販売者や料理人がたいしたことなくても消費者からみたら魅力的な商品や料理になる。



■アイデアを「殺す」方法

「そんなことはできないだろう」と否定し思考を止めてしまう。
「前例がある(そして結果ダメだった)」と決めつけ思考を止めてしまう。
「前例がない(今まで成功した例がない)」と可能性を閉ざしてしまう。
「この業界・会社では無理」ということを主張してしまう。
「もし失敗したら責任をとれ(クビにする)」という環境にしてしまう。
「予算や時間を費やせない」とチャンスを奪ってしまう。
「専門外だから無理だ」とはじめから諦めてしまう。
「需要はない」と決めつけてしまう。
「・・・」アイデアが目の前で生まれていることに気づかない。
「客が何を求め購入したか」を見誤ったまま売っている。



■アイデアを殺す人の特徴

1.結論を急ぐ。
2.解決策を出すためのゴールが見えていない。
3.他人のアイデアを聞かない。
4.前進する方向を間違えている。
5.頑固である。
6.疑問を持たない。
7.自分の誤りを認めない。
8.自分の無知を認めない。
9.失敗を歓迎しない。



■カワカマス症候群

カワカマスというのは大型の肉食淡水魚で、小魚を食べる。真ん中にガラスの仕切りのある水槽にカワカマスと小魚を分けて入れると、カワカマスは小魚に向かっていくもののガラスの仕切りに激突し鼻先を痛めてしまい、じきにあきらめてしまう。

そこでガラスノ仕切りを取り払ってみる。が、カワカマスはガラスの仕切りがあった先には行かず手前をぐるぐると泳ぐだけになってしまう。小魚の方へ行くと痛い思いをすると学習して(思い込んで)しまったためだ。

これを「カワカマス症候群」という。



■偉人たちがアイデアを殺しかけた例

1.H・Mワーナー(ワーナー・ブラザーズ設立者)
1927年の無声映画の時代に「誰が役者の声を聞きたがるのか?」と疑問視していた。

2.アルバート・アインシュタイン(物理学者)
1932年に「核エネルギーが利用できる兆候は何一つない」と言った。

3.ケン・オルソン(DEC創業者)
1977年に「家庭でコンピュータが求められる理由はどこにもない」と言った。

4.ビル・ゲイツ(マイクロソフト創業者)
1981年に「640kあれば十分だろう」と言っていた。



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